.. _binary-network-model: ============== モデルの定義 ============== :math:`N_E` 個の興奮性のニューロンと :math:`N_I` 個の抑制性のニューロンが 相互に結合したネットワークの特性を :math:`N = N_E + N_I \to \infty` の極限で調べる. ここで, 興奮性ニューロンと抑制性ニューロンの非 :math:`N_E/N_I` は :math:`N` に依らない数に固定されていると する. これらのニューロンは平均 :math:`K` 個のニューロンと ランダムに結合され, その確率分布は .. _def-J: .. math:: \Prob \{ J_{kl}^{ij} = J_{kl}/\sqrt K \} = K/N_l \Prob \{ J_{kl}^{ij} = 0 \} = 1 - K/N_l で定義される. [#]_ .. [#] 原著 [vanVreeswijk1998]_ には確率は :math:`K/N_k` と書いてあるがこれは間違い. それぞれのニューロンの状態は 0 か 1 の二値変数で表現され, :math:`\sigma_k^i(t) = 1` (:math:`= 0`) は 活動 (無活動) 状態に対応する. ニューロンの状態は「バラバラ」な タイミング (後述) で更新され, そのニューロンへの入力 :math:`u_k^i(t)` に依って, 状態は .. math:: \sigma_k^i(t) = \Theta(u_k^i(t)) に更新される. ただし, :math:`\Theta` は :math:`\Theta(x) = 0` (:math:`x \le 0`), :math:`\Theta(x) = 1` (:math:`x > 0`) で定義される ヘヴィサイド関数 である. ニューロンへの入力は .. math:: u_k^i(t) = \sum_{l=E,I} \sum_{j=1}^{N_l} J_{kl}^{ij} \sigma_l^j(t) + u_k^0 - \theta_k で定義される. :math:`u_k^0` は外部入力を表し, :math:`\theta_k` はニューロンの閾値を表す. :math:`u_k^0` が 外部集団からの入力を表すならば, その大きさは :math:`O(\sqrt K)` のオーダーになるはずである (:ref:`intro` 参照). よって, :math:`u_k^0` は外部集団との結合強度 :math:`J_{k0} > 0` と外部集団の「活動率」 :math:`m_0` を使い, .. math:: u_k^0 = \sqrt K J_{k0} m_0 \qquad (k = E, I) と置く. 集団 :math:`k` のニューロン :math:`i` はそれぞれ平均 :math:`\tau_k` の時間間隔で「バラバラ」に (非同期的に) 更新される. ここでは, 各ニューロンの 更新の時間間隔は平均 :math:`\tau_k` の独立な 指数分布に従う (つまり, 各ニューロンの更新は独立なポアソン過程 である) とする. [#]_ .. [#] 更新のタイミングがランダムでないバージョンのネットワークも [vanVreeswijk1998]_ では解析していて, その統計的な振る舞いは 同一であることが示されている.