安定化可能性¶
均衡条件不等式 で求めた興奮・抑制ネットワークの均衡固定点の安定性を解析する. 均衡固定点の安定性 で示したように, 均衡固定点からのずれ \(\bm \xi = \bm m - \bm m^0\) のダイナミクスは
に従う. ただし,
である. 均衡固定点の安定性を調べるためには行列 \(\bm S \bm J\) の固有値の実部を調べれば良い. 行列 \(\bm S \bm J\) は \(2 \times 2\) 行列なので, その固有値は
となる. \(\max \Re \lambda_{\pm}\) の負の成分は \(S_I J_{II}\) であるので, \(S_I\) の大きい極限 \(S_E \ll S_I\) で \(\max \Re \lambda_{\pm}\) が負に出来なければ, この系が安定となる可能性は無い. これは, 例えば \(\tau_E \gg \tau_I\) なる場合を考えることと同様である. この極限をとるためには \(S_E = 0\) とすれば良い.
\((S_I J_{II})^2 + 4 J_{EI} J_{IE} \le 0\) なら, \(\max \Re \lambda_{\pm} = S_I J_{II} / 2 < 0\) である. \((S_I J_{II})^2 + 4 J_{EI} J_{IE} > 0\) なら, \(4 J_{EI} J_{IE} < 0\) より, \(S_I J_{II} + \sqrt{(S_I J_{II})^2 + 4 J_{EI} J_{IE}} < 0\) なので \(\max \Re \lambda_{\pm} = \lambda_+ < 0\) である. ゆえに, 興奮・抑制ネットワークではどんな入出力関係 \(\bm f\) や結合パラメタ \(\bm J\) や外部入力 \(\bm h\) に対しても, 抑制性集団が興奮性集団に比べて十分速い時定数をもてば, 均衡固定点を漸近安定に出来る.