入力のゆらぎ¶
ここでは, 入力のゆらぎ と集団平均活動率 を結ぶ式
(1)
を導出する. ここで は集団 内のニューロンに関する 集団平均 (population average; 添字 に沿った平均) を表し,
で定義される. 文脈からどの添字に関する平均かが明らかであれば, 添字 は省略する. また, は集団平均からの偏差 である.
入力の集団平均¶
この (*) は以下のように近似的できる.
ここで, (1) は, の線型性 (よって和 と集団平均 は演算順序を入れ替えて良い) と が に依らないこと (これの正しい解説は ニューロンの状態と結合係数の相関 を参照), (2) 大数の法則 (law of large numbers) より算術平均は期待値に収束する, つまり の極限で が成り立つことと, と から期待値は となること, (3) が に依らない定数であること, (4) 集団平均の定義, (5) の定義を用いた.
これらの計算を合わせ, を思い出せば, 入力の集団平均 は
となる.
ニューロンの状態と結合係数の相関¶
上記の式変換(1)で「 が に依らない」ことを用いたが, これは正しくは, と の相関が無い [1] と仮定することで, は , つまり に依らずに決まるから集団平均 の演算にとっては定数として扱えることから言える. この と が無相関であるという仮定は,
- 事象 と が独立 ( の定義より)
- と () が無相関という仮定
から正当化される. この無相関の仮定は有限の では正しくないので, この式変形は完全な等号では結ばれず, と書いている.
[1] | 原著 [vanVreeswijk1998] では,
と説明されている. この “equation 3.11” はここで扱っている入力の集団平均 のことである. |
課題
式変形 を正当化する議論をもっと形式化する. 説明に自然言語つかいすぎ!
先に確率平均に行く方法もあるかも?: と が独立だという近似のもと, であることを用いる. この は式変形 (4) にあるように, さらに集団平均 がかかるから, となる. この系は self-averaging なので (とどこかで説明する必要があるけど,) となる.
入力のゆらぎ¶
ここで, (1) , (2) , (3) 上記の の計算 (特に (*) の部分) を用いた.
上式の (*) の和は, 恒等式 を用いて [2]
のように分解できる.
[2] |
第一項の計算 (, )¶
ここで, (1) 大数の法則 (law of large numbers) と の取りうる値は 0 か 1 なので [3], (2) (結合確率の定義 を参照), (3) , を用いた.
[3] | 二値変数のからむ計算ではよく使われるテクニック. |
第二項の計算 (, )¶
ここで, (1) 大数の法則 (law of large numbers), (2) なので と が独立であることと, の確率分布 (結合確率の定義 を参照), を用いた. 残りは単純な式変形である.
第三項の計算 ()¶
ここで, (1) 大数の法則 (law of large numbers), (2) なので と が独立であることと, の確率分布 (結合確率の定義 を参照), を用いた. 残りは単純な式変形である.